日蓮聖人は『観心本尊抄』のなかで「釈尊の因行果徳の二法は妙法蓮華経の五字に具足す。我等この五字を受持すれば自然に彼の因果の功徳を譲り与えたまう。」と、お題目を唱えることの大切さを説かれています。
「釈尊の因行果徳の二法」とは、お釈迦さまが長い時間をかけて行った修行と、その結果得られた功徳のことをあらわします。「妙法蓮華経」という五字、すなわち「妙法五字」の中にこそ、お釈迦さまの功徳がすべて含まれており、「妙法五字」を「受持」すれば自然とお釈迦さまの功徳をすべて譲り受けることができるのです。お釈迦さまの功徳をすべて受け取るということは、お釈迦さまと同体になるということですから「仏」になる、すなわち「成仏」できるということです。つまり「妙法蓮華経」の五字を「受持」する者は、この世にいながらにして成仏できる、すなわち「即身成仏」できるのです。
それでは「受持する」とはどういうことでしょうか。日蓮聖人は「妙法五字」の「受持」は「身口意(しん・く・い)の三業(さんごう)」によって成されると説かれています。「身業(しんごう)」とは「身をもって法華経の教えを実践すること、「口業(くごう)」とはお題目を一心に唱えること、「意業(いごう)」とは法華経の教えを心から信ずることです。
お題目にある「南無」とは、身命を投げ出して教えに従って生きるという決意をあらわします。お題目「南無妙法蓮華経」を心から信じ、唱え、その教えを実践することで、お釈迦様の功徳を全て譲り受け、「即身成仏」することができるのです。