問題提起「山梨県内寺院におけるSDGs調査報告を受けて」18 今回の大会では、山梨県内の寺院に、SDGsへの意識や取り組みについて調査しました。その結果、3割の住職は、SDGsについて知らないうえ、内容をよく知っている方は1割にも満たないことがわかりました。 またSDGsの17のゴールのうち、「貧困をなくそう」「すべての人に健康と福祉を」というゴールへの関心が最も多い一方、ごみの分別をする、食べ残しをしないように気を付ける、マイバッグを持ち歩くなどの行動を心がけている人は多いものの、エシカル消費やフェアトレード、子ども食堂、育児支援などに取り組んでいる人はとても少ない状況です。 さらに、社会問題のうち、県内の住職の過半数が関心を持っていたのは、「気候変動・温暖化」「過疎化」「少子化」「高齢化」で、食品ロスやエネルギー問題。貧困格差社会やジェンダー平等などに関心を持つ人の割合を上回っていました。 全体的に、SDGsへの関心は高いとはいえず、行動している人も多くはないことが明らかになりましたが、SDGsに関心を持たない人の方が、地域住民との交流のみならず、檀信徒とのコミュニケーションができていない傾向も出ています。 シンポジウムでは、僧侶が社会の一員として、誰一人として取り残さない社会の実現のために何ができるのかを考えたいと思います。パネルディスカッション「だれも取り残さない社会の実現に向けて」コーディネーター兼調査報告小谷みどり 氏シニア生活文化研究所代表理事身延山大学客員教授プロフィール大阪府出身。シニア生活文化研究所代表理事、専門は死生学、生活設計論。現在、日本で死生学者のかたわら、カンボジアで若者の職業訓練を兼ねたベーカリーを主宰している。最近の主な著書に、『ひとり終活』(小学館新書)、『ひとり死」時代のお葬式とお墓』(岩波新書)、『没イチ』(新潮社)など。
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