1. HOME >
  2. 奥之院 思親閣TOP >
  3. 育恩の峰より >
  4. バックナンバー >
育恩の峰より
奥之院思親閣別当 池上 玄裕
絆(みのぶ誌2012年2月号より)

 2012年の新春を迎えました。昨年は本当に大変な一年でした。
 3月の東日本大震災、原発事故、計画停電、猛暑、大型台風等何年に渡る災害等が1年間に集中しました。急激な円高、政治の混迷等、日本の未来が大変懸念されます。21世紀は日本の世紀と20世紀の終わりに予想した世界の学者を、ものの見事に裏切っております。そのなかでも明るい話題は「なでしこジャパン」の女子サッカーワールドカップ世界一でした。大会終了後、連日テレビに出演してすぐさまオリンピック予選がありましたが、見事アジア予選を1位で突破し、今年のロンドン五輪での好成績を感じさせます。是非とも頑張ってもらいたいものです。 ここ身延山奥之院思親閣の平成24年正月三が日は、好天に恵まれ、多くの参拝者で終日境内に人が満ちておりました。
 元日の初日の出を迎えた方々の多くが、東北地方の復興、景気の上向き等を懸命に祈っており、特に若者が太陽に向かい手を合わせている姿が大変印象に残りました。
 奥之院思親閣は日蓮聖人が身延9か年御隠棲の間、風雨いとわずこの山頂に登られて、遙かに故郷の房州(現在の千葉県鴨川市)の方角に向かって伏し拝みながら、御両親様、お師匠様を思い出し、涙を流された大変尊いお山であります。
 久遠寺本堂裏から歩いて登られますと、各丁目を表している石には日蓮聖人のお言葉の中でも特に代表するお言葉が彫られており、親孝行の重要性、主君への忠義等を歩きながら胸に刻みなさいと教えております。
 大震災以後「絆」という言葉をよく耳にします。今年の成人式でも新成人が「家族や仲間との絆の大切さを改めて知ることができた。支え合う心を胸に刻み、社会に貢献できるよう努力する」と力強く宣言しておりました。我々日本国民は、一つの家族として更に支え合い生きて行きたいものであります。