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育恩の峰より
奥之院思親閣別当 池上 玄裕
岡田紅陽氏の見た富士山(みのぶ誌2013年4月号より)

 今年の2月は昨年同様に厳しい寒さでした。しかし久遠寺祖師堂前のロウバイ、紅梅は地味ながらも目を楽しませてくれました。3月に入ると一転、暖かい日が続き春の気配が感じられました。
 思親閣から眺める富士山の姿は大変美しいものがあります。この地は今から約730年程前の鎌倉時代、日蓮聖人が西谷の草庵での御生活の折、度々この山に登られて山頂から遙かに故郷房州小湊の方角を拝み、御両親様と御師匠様を偲んだ場所故「思親閣」と呼ばれており、当然富士山も同一視界に入ります。日蓮聖人も富士山を拝まれたことでしょう。私もこの富士山を見て「本当に富士山は美しい山だなぁ」と感じている日々です。
 ところで五千円札の裏の、本栖湖からの富士山で「湖畔の春」というタイトルがついている写真は、昭和10年5月2日に撮られたもので、カメラマンは富士山写真の第一人者、かの「岡田紅陽」氏です。大正、昭和初期、中期のカメラマンで富士山の写真は約40万枚撮ったそうです。この岡田氏の撮った膨大な数の写真の中に、身延山の西側のお山「七面山」から撮った写真があるとテレビで放送しておりましたので、早速忍野村にある美術館を尋ねました。40万点の一部が展示されている中に、七面山からの写真も数点展示されており、タイトルが付けられ「麗容」「斜光」「紅彩」でした。また販売中の本の表紙が七面山からの写真でありました。その他この近くでは旧下部町の毛無山山頂からも撮っておりました。それならこの身延山思親閣からは? と思い古い写真集を購入し調べているとありました。感動、大感激です。昭和4年11月の作品「身延山の朝」というタイトルがついています。その中の写真、岡田氏の書かれた文は残念ながら載せることは出来ませんが写真同様、書かれた文は素晴らしい文であります。
 どうか岡田氏の見た富士山を同じ場所から眺めて見ませんか?お待ち申し上げます。