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育恩の峰より
奥之院思親閣別当 池上 玄裕
知法思國(みのぶ誌2013年12月号より)

 ここ奥之院思親閣も、夏は空梅雨、その後の猛暑、一転して9月、10月と台風の心配がありましたが、大事には至らず安堵しました。しかし残念ながら、伊豆の大島では台風26号で甚大なる被害を被り、未だに行方不明者が発見されてはおりませんので、一日も早い発見と大島町の復旧をここ育恩の峰から祈念申しあげます。
 伊豆半島が望める山頂には育恩の祖師像が建立されております。その後ろに1メートルほどの大きさの「知法思國」と彫られた石塔が建っております。山務当初この言葉が解らないでおりました。このお山は「知恩報恩」と「立正安国」という日蓮聖人の思いが詰まった場所でありますが、「知法思國」については全く解りませんでした。調べていくと、これは「一昨日御書」の中に書かれているお言葉で、文永8年9月12日の日付が書かれているので、龍ノ口の御法難の日に書かれた事が窺えます。また思親閣の大祭は9月12日の龍ノ口の法難会が大祭の日ですから、何か縁があるのでは、と思われます。
 日蓮聖人は明治天皇より「立正大師」の諡号を頂戴しました。つまり正しい教え(法華経)を立て国家を安穏にする、と言う事を一番に考えたお方です。日蓮聖人は日本の国を思い、国難を排除するために何とかして法華経を広めて、安心安穏な善き国になることを願い、努力をしたわけですが、他の教えを広める人達が政府に讒言をし、邪魔をしたので希望通りにはいきませんでした。しかも罪人扱いでしたので本当に悔しがっておりました。しかし日蓮聖人の国を思う立正安国の精神は現在も生き続け、それは未来永劫に続いて行くことでしょう。