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育恩の峰より
奥之院思親閣別当 町田 英昭
新しい年 そして最後の年(みのぶ誌2019年4月号より)

 百花繚乱の季節を迎え、誌友の皆様方には、愈々ご健祥のことお慶び申し上げます。
 さて、30年余の平成時代を結び、新たな元号の幕開けを迎えました。本原稿の執筆中は、まだ新年号が分かりませんが、政治経済の低迷、後を絶たない凶悪犯罪、自然災害などを一顧する時、日本国の更なる飛躍、人類の恒久平和などを願い、希望に満ちた改元の公布に期待いたします。
 光陰矢の如しと申しますが、月日の経つのは早いものです。平成元年より3か年、思親閣に職員として奉職した不肖ですが、同29年には、奥之院の代表である別当として再び奉職して、2年が過ぎました。
 平成初年度に、思親閣と縁を結んだ不肖は、別当任期最後の年に平成期を締め括り、新たな元号を迎える事となりましたが、思い起こせば長き平成期、また別当としての2年間の事が、走馬灯の如くに種々が回想されます。
 別当最後の年、有終の美を飾るべく育恩の祖師に額ずいて、更なる精進に勤めたいと存じます。
 「会うは別れの始め」と言う諺が御座います。出会いは、必ず別れをもたらすと言う、世の無常を意味する言葉ですが、別れの悲しみや人生の儚さは、それは出会う喜びがあったからこそです。
 始めが有れば終わりが有り、楽が在れば、苦が在るのと同じように訪れるものなのだから、別れが来るまでの時間を「大切にする事が大事ですよ」と言う意が込められているのです。
 私たちには「失って初めて知る存在の大きさ」と言うものがあります。新たな年の幕開け、黎明にあたり、後々に後悔しないように時間を大切にして頂き、日々のお題目修行を人生の指針として、皆様方の愈々のご隆昌を、育恩の峰よりお祈り申し上げます。

合掌