1. HOME >
  2. 七面山登詣案内TOP >
  3. 光明照世間 >
  4. バックナンバー >
バックナンバー
七面山別当より別当 長谷川 寛清
ひたむきな思い(みのぶ誌2011年1月号より)
 新年あけましておめでとうございます。元朝のご来光を仰ぎ、七面山山頂より皆様のご健勝を心よりご祈念申し上げます。
 別当就任より9ヶ月、深く心に刻んだことは、五十丁の参道を登り、ただただ七面大明神にお会いしたいという信徒の方々のひたむきな思いでありました。
 昨年の暮れ、十三丁の肝心坊まで登った時のことです。一人の女性にご苦労様ですと声をかけると笑顔で応えてくれました。千葉から来たその方は、大病をしてとても七面山に登ることは出来ないと医者から止められていました。「でも、登りたい。七面様にお会いしたい」という一心で、一昨年はなんとか七丁目まで登ったのです。「今日は十七丁目まで登って今下りるところです。来年は五十丁を登りたい」とまるで七面様にお会いすることを夢みるように話して下さいました。聞けば、娘さんとそのご主人が先に二十三丁まで登っており、いつもは五十丁を登るのですが、母親を心配して一緒に下りるとのことでした。私が登る途中で娘さん夫婦に挨拶すると、大変喜んでくれ、来年は何としても二人で母を五十丁登らせますと言って下さいました。参道でこのお二人を見送りながら、胸が熱くなりました。
 人間だから、常に清い心ではいられません。失敗もし、過ちも犯します。しかしそんな私達であっても、ただひたむきに、お題目を唱え、七面山に登ろうとする思いを、七面大明神は受け取って下さるのだと思います。五十丁を登ることだけが大切なのではなく、登ろうとするひたむきさが大切なのだと本当に教えて頂きました。  何度登っても、新たな教えがあります。何度登っても、涙の出るような感動があります。新しい年を迎え、どうか皆様の思いを七面大明神にお届け下さい。心からご登詣をお願い申し上げ、新年のご挨拶とさせて頂きます。