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七面山別当より別当 樋口 是亮
山梨百名山(みのぶ誌2013年7月号より)
 先日、一の池でお経をあげていた時のこと。読経を終え、腰を上げると、数人の参拝者の方が後ろに立っておりました。
 「お疲れ様です」と、声をかけると「こんにちは」と、返していただき、続けて「ここってお寺ですか?」と、訊かれ、少し驚いてしまいました。七面山のいわれや、池の話をするうちに、どうやらその方たちは山梨百名山の踏破を目指している登山者の方たちでした。
 深田久弥氏の名著「日本百名山」が火付け役となり、昨今の登山ブームは目を見張るものがあります。かくいう私も登山が好きで、若いころから南北アルプスから、谷川岳の岩場にまで足しげく通ったものですが、当時はいかつい男ばかりのステージで、世間からは「山屋」と呼ばれておりました。一転、現在ではタイツとスカートをまとった「山ガール」なる方たちが闊歩しております。
 目の前の、山梨百名山踏破を目指す方たちも、自称「山ガールです」と、主張しておられました。中には、おそらく、いや、明らかに還暦を過ぎてらっしゃる方もおられたんですが、あくまでも「山ガールです」と主張されておりました。
 素晴らしい。私に、何の異論もございません。しかし、そのファッション性は、数十年前には考えられないものであります。
 転んだときは大丈夫なのか? 雨が降ったらどうなんだ? 寒さに対して耐性はあるの? と、疑問がわいてくるのですが、いらぬ心配、余計なお世話と、言われてしまいそうなので、骨董品と化したかつての「山屋」は、おとなしくしておりました。
 それにしても、参拝以外の登山者の方々がいらしてくださるのは、ありがたいことであります。
 そこで、今、敬慎院では、そうした方々に向けて、各種の案内板を設置したり、諸堂の縁起に関する看板の設置に力を入れております。
 初めて訪れた登山者の方にもわかりやすい、親しみの湧く七面山を目指しております。ただし、あくまでも、2000メートルに近い山。雨、風、寒さに対する気配り、装備は、十分になさってくださいませ。どんな低山にも自然というリスクはつきものですから。