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七面山別当より別当 望月 成浩
「いま・ここ」を精一杯生きること(みのぶ誌2018年5月号より)
 「信行」という言葉をよく耳にすると思います。『法華経』を信ずることも同じで、行ずることが伴って初めて仏さまの教えが生きるのです。
 その意味でも、行ずる場は、すべてが道場です。信行とは、教えを血肉化していく、もっと端的に言えばお題目を唱えることです。お寺様で例えば「如説修行」ということを学んだら、それを実際の生活のなかで実践することが大切で、その時、家庭はもちろん学校も職場も、電車の中も、買物途中も食事に出かけたレストランも私たちの心を磨く道場となるのです。そこで大切なのが、「いま・ここ」を生きる心です。
 釈尊は人生の長さを「一刹那」と教えられていますが、いま、この一瞬を精一杯生きることが、すでに仏さまの教えの実践なのです。
 一刹那というのは、指を鳴らした間くらいの時間の短さです。人間は今の一瞬しか生きられない、1秒前も1秒後も生きられないのであるという言い方をされています。また、道場は必ずしも場所のこととは限りません。『維摩経』には「煩悩は是れ道場なり」という表現があります。
 これはまさに「煩悩即菩提」の相即不離の関係を示している言葉です。
 つまり、迷いがあるから悟りというものが生まれてくる、迷いの原因を探って、その根本に気づく所に悟りの世界が開けてくるのですから、迷いと悟りが究極において一つであるという見方です。私たちは、煩悩具足の人間として生まれてきたからこそ、仏道を歩むことが出来るという逆説的な言い方です。
 人生上の事件は向こうからやって来るのでありまして、人生何が起こるかわかりません。「いま・ここ」しかない気持ちで全力を尽くす時に解決の道が開かれて来ます。すべての時と場所、そして物事が、私たちの心を磨く道場となります。そのことを踏まえて「いま・ここ」という気持ちを大切にしましょう。
 新緑の季節を迎えます。七面大明神に導かれながら自分自身の身体を鍛え、心を磨きながらゆっくり参詣されることを願っております。
合掌

※参籠修行・お開帳・各種祈願回向・本願人制度・報恩事業・報恩写経等のお問合せ
   七面山敬慎院
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