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七面山別当より別当 望月 成浩
「平成」から「令和」(みのぶ誌2019年5月号より)
 先月の4月1日、新元号、「令和」が発表されました。奈良時代に完成をした日本に現存する最古の歌集「万葉集」が典拠とされました。
 日本で記された国書を典拠とする元号は確認できる限りで初めてとなるそうです。個人的には日本国独自の発想の中から生まれたことに安心したと同時に、大変に響きが良い元号になったと思っております。
 「令和」は248番目の元号となり、「令」の字が使われるのは初めてで「和」は20回目、アルファベットの頭文字での表記は「R」とするそうです。
 典拠となった「万葉集」は20巻から成り約350年間にわたって詠まれました。約4,500首を集めています。額田王、柿本人麻呂、山上憶良など代表的な歌人の他、天皇から防人、無名の農民に至るまで幅広い歌人が含まれ、地方の歌も多くあります。
 引用したのは、梅の花の序文「初春の令月にして、気淑く風和ぎ梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫らす」(書き下し文)
 歌人、大伴旅人が太宰府長官時代に宴会を開いた時に詠んだものです。
 発表された後、街の人の中では「平和の『和』でうれしい」「希望があふれる元号だ」との受け止めが広がったり、初めて口にする「れいわ」の響きをかみしめて、平成を惜しんだり新時代の担い手として決意を新たにする人も目立っておりました。
 本月1日より「平成」より「令和」新天皇即位、新しい時代の幕開けとなりました。そして「令和」には、人々が美しい心を寄せ合う中で文化が生まれ育つという意味があるようです。
 平和な時代、穏かな新時代となることを切に願います。もとより、改元で社会のありようがすぐに変わるものではありませんが、社会をつくり歴史を刻んでいくのは、いまを生きる一人ひとりであります。
 さて、新時代と共にお山でも新緑の新たな季節を迎えます。七面大明神に導かれながら自分自身の身体を鍛え、心を磨きながらゆっくり参詣されることを願っております。
合掌

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