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七面山別当より
別当 内野 光智
白から緑の季節へ(みのぶ誌2022年4月号より)
1月、コンスタントに降った雪でありましたが然程の積雪には至らず、雪掻き作業には楽なのですが春・夏にかけての山の水の確保となると心もとなく、どうしたものかと思っておりました。すると、2月10日早朝から降った雪はそれまでと様子が異なり、あっ!という間に足のすねの高さまで雪が積もり、雪掻きをした直後も直ぐ雪が積もり結局は膝上の高さまでの積雪となりました。
普段ですと参道20丁あたりから薄っすら白く雪が積もり始めて36丁あたりからアイゼンを付けて登るということが多いのですが、その日の雪は麓の参道上り口も20センチを越える積雪にて、50丁全ての道のりが真っ白になりました。
敬慎院周辺には未だ雪が残り、山の水の確保には心強い雪の量となりました。
積雪直後の参道途中は静寂そのもので、雪を掻くスコップのザクッ、ザクッという音しか存在せず、山の厳しさを感じます。けれども、上を見上げれば雪が載った白い木々の枝の間から望む真っ青な空と富士山の荘厳な姿を拝すると、ほんのり温かな陽射しの中で暫し手を止めて心を開放するご褒美のような時間に恵まれました。
七面大明神は厳しさや困難というお試しの中にほんのりと温かく和やかな慈しみを御用意していつも観て下さっています。
御山全体をお使いになられて、私どもに御教えを施して下さっていると思うとありがたく胸に熱いものが飛来してまいりました。
関東地方に春一番が吹く少し前、杉の葉なのでしょうか、参道8丁あたりに何とも言えぬ緑の心地よい匂いが漂っておりました。
「さあ、活動の時期が始まるよ。準備はいいかな」と問いかけてくれているようでした。
皆さまにご理解・ご協力を頂いております浄化槽新設報恩事業の着工が目前となりました。
無事完成の御報告ができるよう精進致します。