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七面山別当より別当 小松 祐嗣
就任の挨拶(みのぶ誌2023年7月号より)
 この度、身延山久遠寺法主猊下より七面山別当の辞令を頂き、去る4月1日より3年間、124代別当としてお山をお守りさせて頂いております武井坊住職小松祐嗣と申します。別当交代式の際には身延山久遠寺をはじめ、ご参列くださいました皆様方には改めまして御礼申し上げます。
 大学を卒業して身延に戻り、初めて七面山に山務員として勤務してから、過去3代の別当のもとで給仕をさせて頂きました。平成28年に当時執事として務めておりましたお山を下山してより、久しぶりの七面山勤務となります。慣れ親しんだお山の勤務も、はや2か月が過ぎますが、過去の9年間とは違い、別当職という責任の重さをヒシヒシと感じております。しかしながら七面山のご信者様方と久しぶりにお会いすると、懐かしさと共に、それまでの自分を思い出す瞬間がございます。
 就任早々に、九州からお寺様の団参をお迎えさせて頂きました。その中の80歳になるおばあちゃんは、今回が初めての七面山だったのです。登りでは大変苦労された様子で、40丁からはお上人様に背負われてやってきました。翌日私達も心配したのですが、案の定おばあちゃんは途中で膝が笑ってしまい、なんとかお上人様に支えられながら23丁までは降りたものの、そこでレスキュー要請の電話が入りました。山務員と私が駆けつけ、おばあちゃんをおんぶして、無事に麓まで送り届けることができました。以前、大善坊長谷川別当代、自分が会計を務めておりましたが、「別当が智力、私が体力、執事が時の運担当ですね」などと言って笑ったことが思い出されました。
 頂いた役職が人を変えることもあると思います。けれども自分が持てる以上の力は期待しても仕方がありません。この3年間、ご縁をいただいて集まった山務員と共に、私の体力と、各々が持てる力を振り絞って、七面大明神にご給仕申し上げ、参拝の皆様をお迎えしていきたいと思います。