1. HOME >
  2. 奥之院 思親閣TOP >
  3. 育恩の峰より >
  4. バックナンバー >
育恩の峰より
奥之院思親閣別当 佐藤 順行
だんだん良くなる法華の太鼓(みのぶ誌2022年5月号より)

 奥之院では日蓮大聖人ご降誕800年の慶讃として、破損した大太鼓の修復事業を行っております。今代が始まった令和2年4月、すでに世の中はコロナ禍の真只中にあり、参拝者も殆どありませんでした。そうした中、今出来るのはひたすらお題目、お経をお唱えする事であると感じ、私自身を始め山務員にも率先して諸堂での勤行を命じました。唱題、読経三昧の日々が続いたある日、山務員が三尺の大太鼓で唱題をしていた所、突然太鼓が破れてしまいました。大太鼓の皮は想像以上に強く、そう簡単に破れるものではありません。ですが奥之院は年間を通じて湿度が高く、建物や仏具が大変傷み易い環境にあります。この大太鼓も長年の湿気によりすでに寿命を迎えていたのでした。すぐに修理をと思っても、これだけの大きさとなると費用も嵩みます。とはいえコロナ禍で参拝者も激減中。そこで今回は事業として立ち上げ、全国の皆様のお力をお借りすべく勧募を行わせて頂きました。お陰様で勧募は順調に進み継続中です。昨年10月末に都内の業者が来山し搬出を行い、修理が始まりました。そして約5か月の修理を終え、4月13日に大太鼓が戻って参りました。300名近い皆様の真心が結実し、生まれ変わった大太鼓を目にした瞬間、目頭が熱くなりました。浄財を賜りました皆様のお名前は芳名板に記し堂内に掲げさせて頂きます。また長年の唱題の功徳が染み込んだ破れた太鼓の革を利用しお守りを作り、返礼品として皆様にお渡しする予定です。その名も『どんどん良くなる法華の太鼓守り』。表題にあるように、「だんだん(次第に)良く成る」と「ドンドン(と本宗の団扇太鼓が)よく鳴る」をかけた有名な言葉ですが、やはり太鼓だけにお守りは「どんどん」と致しました。今年度中にお披露目とお祝いを兼ね、この太鼓を用いた唱題平和祈念法要を企画しています。辛く悲しい世情ですが、だんだんと物事が好転して参りますようぜひご参加頂ければ幸いです。